Mail Guide

SPF・DKIM・DMARCとは?メールが迷惑メールに入る理由を、郵便のたとえと図で解説

「うちのメールが、相手の迷惑メールに入る」「Gmailに届かないと言われた」。まず確かめたい原因が、SPF・DKIM・DMARCという3つの設定です。会社のドメイン(メールアドレスの@より後ろ)のアドレスで、ふだんのメールや注文確認・予約の返信・請求書を送っている方に向けた話です。このページでは専門用語を使わず、手紙にたとえて説明します。読み終わるころには、自社のメールが合格しているかを自分で確かめられます。

2026-10-25 / ママゴトラボ

郵便の受付係のフラスコのキャラが、届いた手紙を1通ずつ確かめている。後ろの掲示板には名簿・はんこの見本・指示書の3枚の紙
SPF送り元の名簿

「うちの手紙は、この郵便局から出します」という届け出。

DKIM封筒の割印

途中で中身が変わっていないことと、誰が出したかを示すはんこ。

DMARC扱いの指示書

「名簿にもはんこにも合わない手紙は、こう扱って」というお願い。

01なぜ今、この3つが必要なのか

迷惑メール対策の仕組み自体は、10年以上前からあります。変わったのは、受け取る側のルールです。2024年から、GmailやOutlookのような大手のメールサービスが、「設定のない会社のメールは、受け取らないことがある」とはっきり決めました。

日本でも同じ流れです。Yahoo!メール(2020年3月から)、ドコモ(2022年8月)、au(2023年10月)、ソフトバンク(2024年4月)が、DMARCを使ったなりすましメール対策を順に導入しました。2023年2月には経済産業省・警察庁・総務省が、クレジットカード会社などにDMARCの導入を要請しています。

つまり世の中は、「設定していない会社のメールは、断られたり迷惑メールに入ったりしても仕方ない」という方向に動いています。「たくさん送る会社だけの話」と思われがちですが、個人のGmail宛てなら、小さな会社でもSPFかDKIMは必須です。

お客さまにメールを送る会社なら、相手がGmailか、Yahoo!メールか、携帯のメールかは選べません。細かい条件はサービスごとに違いますが、3つがそろっていれば、どこへ送っても「本物かどうか」を確かめてもらえる状態になります。

023つを手紙にたとえると

メールは、郵便の手紙とよく似ています。ただし、差出人の名前は誰でも自由に書けてしまいます。「○○銀行」と書いた偽物の手紙も、そのままでは見分けられません。そこで、本物だと確かめるための仕組みが3つ用意されています。

フラスコのキャラが、名簿と手紙の消印を見比べている。後ろには名簿に載っている郵便局と載っていない郵便局

SPF

送り元の名簿

「うちの会社の手紙は、この郵便局とこの郵便局からしか出しません」と、あらかじめ届け出ておく名簿です。受け取った側は、手紙がどこから出されたかを名簿と照らし合わせます。名簿にない郵便局から来た手紙は、怪しいと判断できます。

実際には:メールを送り出すサーバー(送信を担当するコンピューター)の一覧を、ドメインの公開設定に書いておきます。

フラスコのキャラが封筒に割印を押している。机には照らし合わせ用の見本と虫眼鏡

DKIM

封筒の割印

送るときに、封筒へ会社のはんこを押しておきます。受け取った側は、公開されている「はんこの見本」と照らし合わせます。はんこが合っていれば、途中で中身が書き換えられていないことと、どの会社が押したかが分かります。

実際には:送るたびに電子署名(暗号を使ったはんこ)を付けます。照合用の鍵(見本)は、ドメインの公開設定に置きます。はんこが示すのは「どのドメインが押したか」までで、担当者本人や内容の正しさを保証するものではありません。

フラスコのキャラが指示書を手に、手紙を受信トレイ・迷惑メール・送り返しの3つの箱に振り分けている

DMARC

扱いの指示書(と報告のお願い)

「名簿にもはんこにも合わない手紙が届いたら、こう扱ってください」というお願いです。扱い方は特別な扱いは要らない(none)・怪しいメールとして扱って(quarantine。多くは迷惑メールへ)・受け取らないで(reject)の3段階から選びます。あわせて「判定の結果を、ここへ報告してください」と報告の送り先を書いておけば、結果の集計が届くようになります。

実際には:方針と報告の送り先を、ドメインの公開設定に書きます。最終的にどう扱うかは、受け取る側が決めます(お願いであって命令ではありません)。

ドメインの公開設定(DNS)とは

3つとも、ドメイン(メールアドレスの@の後ろ)の公開設定に書き込みます。専門用語ではDNSと呼びます。ドメインの持ち主だけが書き込めて、世界中の誰でも読める掲示板のようなものです。設定する場所は、DNSを管理している会社の管理画面です。多くはドメインを買った会社かレンタルサーバー会社ですが、別の会社のこともあります。

031通のメールが届くまで

受け取る側(たとえばGmail)は、メールが届くたびに掲示板を見に行き、3つを確かめています。流れを図にすると、こうなります。

送る会社 差出人: [email protected] はんこ(DKIM)を押す ① メールを送る 受け取る側 (Gmail・Outlook など) 名簿に載った送り元か はんこは本物か 差出人と名前が同じか example.co.jp の掲示板(DNS) SPF:送り元の名簿 DKIM:はんこの見本 DMARC:扱いの指示書 ② 見に行く ③ 照らし合わせる ④ 振り分ける 受信トレイ 本物と判断 迷惑メール 怪しいと判断 受け取り拒否 送り主に突き返す
受け取る側は、送る会社の掲示板(DNS)を見に行って照らし合わせる。送る会社が掲示板に何も書いていなければ、確かめようがない。

ポイントは、確かめるのは受け取る側だということです。送る側にできるのは、掲示板に正しい名簿・はんこの見本・指示書を書いておくこと、そしてはんこを押して送ることだけです。

また、3つに合格しても必ず受信トレイに入るわけではありません。受け取る側は、内容や送る量、受け取った人が「迷惑メール」と報告したかどうかも見ています。3つの設定は、判断してもらうための最低条件です。

04いちばんの落とし穴:差出人は2か所ある

「SPFもDKIMも合格しているのに、DMARCだけ不合格になる」。一見おかしなこの結果は、ここから起きます。実はメールには、差出人が2か所あります。

フラスコのキャラが、封筒と便箋を両手に持って、色の違う2つの差出人の欄を見比べて困っている
封筒の差出人 システムが使う。ふだん画面には出ない [email protected] 便箋の差出人 差出人: [email protected] 件名:ご注文ありがとうございます 受け取った人の画面に出るのはこちら SPFが調べるのはこっち DMARCが守りたいのはこっち
メール配信サービスなどを使うと、封筒の差出人がサービス側の名前になることがある。

SPFが調べるのは、封筒の差出人です。メール配信サービス(メルマガなどを一斉に送るためのサービス)や予約システムを使うと、封筒の差出人がサービス側の名前(上の図の haishin-service.jp)になっていることがあります。この場合、SPFは「サービスの名簿」と照らし合わせて合格になります。でも、それは自社の名前で合格したわけではありません。

DKIMのはんこも同じです。何も設定しないと、サービス側の名前のはんこが押されることがあります。はんこ自体は本物なので合格です。でも、押したのは自社ではありません。

DMARCが確かめるのは、「画面に出る差出人と同じ名前で、SPFかDKIMのどちらかに合格したか」です。これを専門用語で「一致(アライメント)」と呼びます。どちらも別の名前での合格なら、DMARCは不合格です。なお、news.example.co.jp のように、自社のドメインの前に言葉が付いただけの名前は、ふつうは「同じ名前」として扱われます。

見立て

だから設定作業は、自社の掲示板だけでは終わりません。メールを送っているサービスごとに、「自社の名前のはんこを押してもらう」設定や、「封筒の差出人を自社の名前にする」設定が要ります。設定画面は、たいてい各サービスの管理画面の「独自ドメイン」「送信ドメイン認証」などの項目にあります。

05試してみる:合格・不合格シミュレーター

よくある場面を選ぶか、チェックを自由に切り替えてください。DMARCの判定と、受け取る側での扱いがどう変わるかが分かります。

SPF:送り元の名簿
DKIM:封筒の割印
DMARC:差出人のドメインの指示書

※ 実際の扱いは、受け取る側が内容や送る量なども含めて最終的に決めます。このシミュレーターは、指示書どおりに扱われた場合の目安です。

06自社のメールが合格しているか、Gmailで確かめる

難しい道具は要りません。自分のGmail(個人のもので構いません)に、自社のアドレスから1通送るだけで確かめられます(中身は、お客さまの情報を含まないテスト文で十分です)。詳しい判定の確認は、パソコンのブラウザ版Gmailで行います。

  1. 会社のアドレスから、自分のGmail宛てにメールを1通送る。
  2. パソコンのブラウザでGmailを開き、届いたメールを開く。
  3. メールの右上にある「︙」(その他)を押し、「メッセージのソースを表示」を選ぶ。
  4. 新しく開いた画面の上の方にある、SPF・DKIM・DMARCの行を見る。
元のメッセージ(表示の例)
差出人:[email protected]
SPF:PASS(IP: 203.0.113.10)送り出したサーバーの番号
DKIM:'PASS'(ドメイン: example.co.jp)ここを見る
DMARC:'PASS'

※ 表示の細かい形は、Gmailの更新で変わることがあります。

見るところは3つです

07設定の前にやること:送り元の棚卸し

設定作業そのものは、手順どおりに進めれば終わります。手間がかかるのは、その前です。「自社の名前でメールを送っているもの」を全部挙げること。一つでも漏れると、そこから送ったメールだけが断られたり、迷惑メールに入ったりすることがあります。

会社から、ネットショップ・予約・請求書・複合機・スマホ・社内システムがそれぞれ手紙を送り出している。フラスコのキャラが一覧に書き出すが、1通が漏れていることに気づいてハッとしている

当てはまるものにチェックしてください。

名簿には上限がある

送り元が増えると、もう一つ問題が出ます。SPFの名簿には、郵便局を1つずつ書くのではなく、「Googleの郵便局はGoogleの名簿を見てください」のように、他社の名簿を引用する書き方をよく使います(include: という書き方)。この引用は、引用した先の名簿の中の引用も含めて、合わせて10回までという決まりがあります。超えると、名簿が読めないと判定され、SPFが通らなくなります。サービスを足すたびに名簿へ追記していると、気づかないうちに上限を超えていることがあります。

だからこそ、送り元の一覧を先に作り、送り元ごとに「名簿に載せるか」「自社の名前のはんこ(DKIM)を押してもらうか」を考えます。どちらができるかはサービスによって違い、送り先のルールで両方が必要なこともあります。各サービスが対応している方式を確かめてから決めます。

設定の順番

  1. 自社の名前でメールを送っている仕組みを、全部書き出す手間の中心
  2. 仕組みごとに、SPFの名簿に載せるか、自社の名前のはんこ(DKIM)を押してもらうかを決めて設定する
  3. DMARCを none(特別な扱いは要らない)で置き、報告の送り先も書いて、結果の報告を受け取る
  4. 報告を見て、不合格になっている送り元を見つけて直す手間の中心
  5. 漏れがなくなったら、quarantine(怪しいメールとして)、reject(受け取らないで)と段階的に強める

見立て

手間の中心は1と4です。どちらも、設定の知識より「社内のどこで、誰が、何の仕組みでメールを出しているか」を把握することが本体です。これは業務の棚卸しと同じ作業です。いきなり reject にすると、漏れていた送り元から送った正規のメール(注文確認や請求書)まで届かなくなります。

08よくある質問

小さな会社でも必要ですか?

必要です。Gmailは、個人のGmail宛てに送るすべての送信者にSPFかDKIMの設定を求めています。1日およそ5,000通以上送る場合は、3つすべてが必要です。日本でもYahoo!メールや携帯各社がDMARCで判定しています。

3つを設定すれば、迷惑メールに入らなくなりますか?

保証はされません。受け取る側は、内容や送る量、受け取った人からの迷惑メール報告なども見て判断します。3つの設定は、判断してもらうための最低条件です。

DMARCをいきなり reject にしてもよいですか?

おすすめしません。設定が漏れている送り元があると、自社の正規のメールまで届かなくなります。none で報告を受け取り、漏れを直してから、quarantine、reject と段階的に強めます。

自動転送するとメールが届かなくなるのはなぜですか?

転送すると、送り出すサーバーが転送した側に変わるため、SPFが不合格になりやすくなります。DKIMのはんこは、本文や件名などが書き換えられなければ転送後も残ることが多いため、SPFだけでなくDKIMも設定しておくことが大切です。上のシミュレーターの「自動転送されたメール」で確かめられます。

@gmail.com のアドレスで送っている場合も設定が必要ですか?

自分で設定するものはありません。gmail.com の設定はGoogleが管理しています。このページの話は、会社のドメイン(@の後ろが自社の名前)のアドレスで送る場合のものです。

設定はどこでするのですか?

名簿(SPF)・はんこの見本(DKIM)・指示書(DMARC)は、ドメインの公開設定(DNS)に書きます。DNSを管理している会社の管理画面です(ドメインを買った会社と別のこともあります)。はんこを作る作業は、メールを送るサービス(会社向けのGmail・Outlook、メール配信サービスなど)の管理画面で行います。

送り元の棚卸しから、まとめてお手伝いします

「確かめたら不合格だった」「どの仕組みが自社の名前でメールを出しているか分からない」「設定の順番を決めたい」というご相談を承っています。
業務の流れを整理して「何を直すか」を決めるところから、設定後の確認まで対応します。

ご依頼はクラウドワークスから → ホームページ:mamagotolab.com

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ママゴトラボは、業務の自動化ツールを「何を作るか」を決めるところ(要件定義)から設計してつくる開発ラボです。属人化した業務の見える化から、自動化ツールの開発・保守まで承っています。
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参考: Google「メール送信者のガイドライン」 / Yahoo Sender Hub / Microsoft「Outlookの大量送信者向け要件」 / RFC 7208(SPF)・RFC 6376(DKIM)・RFC 7489(DMARC)