こんなこと、ありませんか。
- 申込書の様式を変えて、全員に周知した。数週間後、古い様式で申し込みが届いた
- 会議で「それは次の大きな見直しで一緒にやろう」と決まった。その見直しは、まだ始まっていない
- 「対応済みです」と報告を受けた。開いてみたら、一か所だけ前のままだった
どれも、手を抜いたから起きるとは限りません。
直した人も決めた人も、自分では「終わった」と思っています。
「周知を徹底しましょう」「最後に確認しましょう」は、誰でも知っています。
問題は、何を見て「終わった」とするかです。
私も、自分の仕事で54日やっていました
偉そうに書いていますが、私も最近やりました。
自社サイトの「ご相談はこちら」のリンク先を、別の窓口に切り替えたときのことです。
記事のページはまとめて差し替え、作業記録には「全面切り替え」と書きました。
ところが、サイトの入口のトップページだけが、差し替えの対象に入っていませんでした。
途中で気づいて、直すと決めてもいました。
ただ「別のページを作るときに一緒に」としたせいで、手が付かないままでした。
その間にトップページを大きく作り直したのに、ボタンはその作業の範囲外で、古いままでした。
見つかったのは、過去に決めたことの記録を上から順に読み、1件ずつ今のサイトと見比べていたときです。
正直に言うと、この件を確かめるために予定していた確認ではありません。
記事を差し替えてから54日。直すと決めてから28日。入口だけが古いままでした。
その間に問い合わせを逃したかどうかは、確かめる材料がなく、分かりません。
振り返ると、原因は2つでした。
- 「全部変えた」の「全部」が、実際に変えた範囲より広かった
- 決めたことを、大きな作業に抱き合わせて止めてしまった
どちらも、職場の様式変更や会議の決定で、そのまま起きることです。
ここからは、この2つを防ぐための確かめ方を3つ書きます。
確かめ方1:変える場所を「種類」で書き出す
「全部変えた」と言う前に、変える場所を1つずつ書き出します。
思い出しながら書くと、漏れやすくなります。
私が漏らしたのも、サイトの入口のページでした。
漏れを減らすコツは、場所を「種類」で考えることです。
申込書の様式なら、たとえばこうなります。
- 原本:社内の共有フォルダ、ホームページのダウンロード用ファイル
- 印刷物・掲示:窓口に置いてある紙、壁の貼り紙
- システムの中:メールの定型文、Webの申込フォーム、会計ソフトの様式設定
- 説明資料:マニュアルや引き継ぎ資料に貼ってある見本
- 人の手元:ベテランが自分用に取ってある、古い版のコピー
- 配ってしまった物:取引先に以前送ったメールの添付(差し替えられないので、確かめ方3で扱います)
この一覧を、作業の前に作ります。
そして差し替えたら、1つずつ実物を開いて見てから、済みの印を付けます。
「一括で差し替えた」という記録からは、「ほかも直っているはず」と推定しません。
確かめ方2:「終わった」の条件を、目的から決める
「周知した」「差し替えた」は、作業が終わったという意味です。
目的が果たせたという意味ではありません。
ここでは「様式がきちんと切り替わったか」に絞って考えます。
その目的は、「新しい様式で、申し込みが届くこと」です。
(様式を変えた理由が記入漏れを減らすことなら、その効果は別に確かめます)
だから、終わりの条件は2段にします。
- 作業の完了:差し替えられる場所が、すべて新しい様式になっている(実物で確認済み)
- 目的の完了:変更後に届いた申し込みが、新しい様式になっている
2段目は、実際に届いたものを見るしかありません。
誰が、いつまで、何件くらい見るかを、自分の職場の受付の頻度に合わせて決めておきます。
決めておかないと、「そのうち見よう」で終わります。
私の場合、直した日に確かめたのは、ページの中にある「リンクの件数」でした。
ただ、件数で分かるのは「そのリンクがある」ところまでです。
押したときに、正しい窓口へ飛ぶか。
そこは、この記事を書くにあたって、あらためて確かめました。
公開中のページからリンク先を開き、正しい窓口のページが出ることを確認しています。
「ある」と「目的どおりに働く」は別物です。
確認の中身は、目的から逆算して決める。これが2つめです。
確かめ方3:差し替えられない物には手当てを、先送りには期日を
最後は、どうしても残る物の扱いです。
配ってしまった物は、手当てを実施して「済み」にする
取引先に送った古い添付は、こちらでは差し替えられません。
ここは「直す」ではなく、別の手当てをします。
- 最新版の置き場所を、あらためて知らせる
- 古い様式が届いたとき、受付で誰がどう対応するかを決めておく
この手当てを実施したら、一覧では「済み」にしてかまいません。
その後に古い様式が届いたら、決めておいた受付の対応で片づけます。
差し替えられない物をいつまでも「未完了」にしておくと、一覧が閉じられなくなります。
「次の見直しで一緒に」は、期日をつけて残す
会議で決めたことを、大きな作業に抱き合わせるのはよくあることです。
ただ、大きな作業は後ろにずれます。決めたことは、その間ずっと止まります。
抱き合わせるなら、その大きな作業の終わりの条件に、項目として書き込みます。
そのうえで、「この日にまだ手が付いていなければ、切り出して先にやる」という見直しの日を決めておきます。
大きな作業ごと延びたときに、一緒に止まらないようにするためです。
私はトップページのボタンを「別のページを作るとき」に回して、28日止めました。
最後は、ボタンを直すだけの作業に切り出して、見つけた日のうちに差し替えています。
決めたことは、実物が変わるまで「未完了」です。
変更を「完了」にする前のチェック
最後に、そのまま使えるようにまとめておきます。
様式やルールを変えたとき、「完了」にする前に見てください。
- □ 変える場所を、種類ごとに書き出したか(原本・印刷物・システム・説明資料・人の手元・配った物)
- □ 差し替えられる場所の実物を、1つずつ開いて見たか
- □ 差し替えられない物に、手当て(再案内・受付での対応)を実施したか
- □ 「作業の完了」と「目的の完了」を分けたか
- □ 目的の完了を、誰が・いつまで・何を見て確かめるか決めたか
- □ 古い物を見つけたとき、誰が何をするか決めたか
- □ 先送りした項目に、見直しの日をつけたか
おわりに
「周知した」も「決めた」も、口にした瞬間に終わった気になれる言葉です。
でも、終わったかどうかは、実物にしか書いてありません。
変える場所を1つずつ書き出し、それぞれの実物を見てから、完了にする。
私自身、自分のサイトで54日かけて、これを学び直しました。
確かめ方については、また別の角度からも書くつもりです。
「変えたはずなのに、どこかに古いものが残る」「決めたことが、いつのまにか止まっている」。
変える場所の洗い出しと、完了の確かめ方を一緒に決めるご相談を承っています。
変更のたびに使える手順書やチェックリストの整備も承ります。
最初のご連絡は、「変えたい様式やルール」と「それが今どこに置いてあるか」を書いていただければ十分です。やり取りはすべてテキストで進めます。
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